モーツァルトのピアノ協奏曲について少し書く。 私が初めて聴いたモーツァルトのピアノ協奏曲は第26番ニ長調K537で、「戴冠式」というニックネームがついている。イングリット・ヘブラー (1929-2023) が1961年にコリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団と録…
10月は月初めの自民党総裁戦での高市早苗当選という最悪の結果に伴う「トンデモ政局」の月になってしまったので、ついに月末になるまでこちらのブログの更新ができずにいたし、本もあまり読めていない。 ようやくスマホで読み終えたのが三宅香帆の『なぜ働い…
しつこくカズオ・イシグロの『日の名残り』の話をする。 今月、同じイシグロの『遠い山なみの光』の日本映画が公開されたり、その前には若手文芸評論家の三宅香帆氏がYouTube「カズオ・イシグロといえば『信頼できない語り手』、『信頼できない語り手』いえ…
少し前の記事で宮部みゆきの『三島屋変調百物語』の『六之続』にやや「変調」がみられるのではないかとの危惧を書いたが、この巻の前半の2話で感じた低調さから、後半の2話では立ち直っていたのでひと安心した。やはり宮部みゆきは東野圭吾とは違う。 www.ka…
まず機械翻訳の話。 kj-books-and-music.hatenablog.com ディケンズ、マルクス、オーウェル - KJ's Books and Music [国際] 「機械翻訳」がえらくくだけた調子なのに違和感。AIか何かが噛んでいるのだろうか。 2025/09/24 11:03 b.hatena.ne.jp kojitaken.ha…
この記事はメインブログに書くかこちらに書くか少し迷ったが、イギリスの文豪に関する話なのでこちらに書くことにした。 マルクスは「オリバー・ツイスト」作者チャールズ・ディケンズを政治家より早く政治的課題を発表した事をかなり高く評価しています。マ…
ガブリエル・ガルシア=マルケスの長篇小説『百年の孤独』(新潮文庫2024, 原著1967)を昨日(9/20)読了した。 www.shinchosha.co.jp 本作、「文庫化したら世界が滅びる」と言われていたらしい。 forbesjapan.com おそらくは1990年代に一度文庫化の予定があ…
7月の参議院選挙に、予想通り日本共産党はまた敗北したが、その共産党の全権を掌握しているとみられる志位和夫は、政治的には志位に対して大いに批判的な私も「良い趣味をしている」と認めるしかない。 以下、志位和夫の公式サイトより。 https://www.shii.g…
昨年(2024年)にもっとも売れた新書本の1つだったという『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を書いた三宅香帆という人が、売れっ子の若手文芸評論家だということさえ私は知らなかった。 その三宅氏は1994年1月に徳島県美馬市に生まれた…
最近は『サンデーモーニング』の「風を読む」のコーナーはあまり真面目に見ないのだが、この日曜日(8/24)は少し面白かった。 その放送で、昨年(2024年)4月に集英社文庫から刊行された『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者・三宅香帆氏の指摘…
今月は猛暑だったが例年の8月には例がないほど仕事が厳しかった(あと5営業日残っているけれど、相変わらず楽ではない)。しかし忙しくなるほど空き時間に本が読みたくなる心理規制の回路が久々に発動して何冊かの本を読んだ。そのうち月初に読んだ松本清張…
先週、松本清張の『草の陰刻』(1965)を講談社文庫2025年発行の新装版で上下巻を読了した。 www.kodansha.co.jp www.kodansha.co.jp 上記講談社のサイトのリンクから、上巻の作品紹介を以下に引用する。 松山地方検察庁地方支部の第二倉庫から出火。当直の…
参院選投開票日の前日に、図書館で借りた下記松本清張の歴史物長編を読了した。 books.kobunsha.com 下記は文庫本の裏表紙にも書かれている作品紹介。 甲府勤番、鈴木栄吾が病死した。しかし、水茶屋の亭主が身延山詣りの途中で、死んだはずの栄吾に会ったと…
最近はバッハやモーツァルトをあまり聴かず、シューベルトやシューマン、メンデルスゾーンらの前期ロマン派とともによく聴くのがベートーヴェンの音楽だ。 以前にも書いたかもしれないが、私は歳をとって耳が悪くなり、音楽を聴くときには補聴器のお世話にな…
先々週の記事に取り上げたハンガリー出身の名ピアニスト、アンドラーシュ・シフ(1953-)は、昔から祖国ハンガリーのオルバーン政権を批判して、祖国では演奏をしないと宣言するなどの「政治的な発言をする」イメージがあったが、シフより2歳年下の中国系ア…
Xのトレンドに「クライスレリアーナ」が出てきたのでびっくりしたが、競走馬の名前だった。 なぜシューマンのピアノ曲の名前がが突然出てくるのかと思ってネット検索をかけたら、馬の母親の名前が「シユーマ」だった。それでか。下記は昨年のブログ記事。 am…
連休中に買ったアンドラーシュ・シフ、塩川悠子、ミクローシュ・ペレーニの3人によるシューベルトのピアノトリオ2曲その他を収めた2枚組のCDが良かった。 tower.jp これはドイツ・ハンブルクのテルデックレーベルへの録音だが、2012年にタワーレコードによっ…
初めに4月前半というか1日から16日までの間に読了した本。既に弊ブログの記事で紹介した本を含む。 www.kadokawa.co.jp www.kadokawa.co.jp 後者は以前の記事に紹介した通り6つの中篇及び短篇からなるが、3番目に収められた表題作の「泣き童子」は暗くて怖く…
宮部みゆきの『三島屋変調百物語』シリーズ、現在10冊出ていてうち8巻が角川文庫になっているが、図書館本で現在3冊目の『泣き童子』を読んでいる。 www.kadokawa.co.jp 江戸時代の江戸(東京)を舞台にした時代小説だが、宮部の時代小説は時代小説らしから…
一昨日(4/5)、前回の記事で取り上げた石井宏の『ベートーヴェンとベートホーフェン』(七つ森書館, 2013)「を返しに行った図書館の書棚に、岡田暁生と片山杜秀の対談本『ごまかさないクラシック音楽』(新潮選書,2023)が置いてあったので借りて読んだ。 …
3月は前半暇が全然なく、後半は2022年7月以降に限ってはもっとも自由になる時間が多かった。 3月前半に唯一読み終えた本が、小宮正安『ベートーヴェン《第九》の世界』(岩波新書,2024)だった。昨年11月に刊行された。 www.iwanami.co.jp 私にとってベート…
3連休だが、3月の仕事予定が厳しくて、明日(2/24)はその準備に充てなければならないので、やりたいことをやるのは昨日(2/22)が勝負だった。そこで、怖いもの見たさで買った「プーチン人脈の名歌手」アンナ・ネトレプコ主演のヴェルディ『椿姫』のDVDを視…
ヘンデルの音楽の最終回はやはり『水上の音楽』にしようか。 www.youtube.com 上記の動画は、下記ブログ記事からリンクされていた。なお、演奏しているジョルディ・サバール*1たちの録音については、バッハの『音楽の捧げもの』と『フーガの技法』のCDを持っ…
また懲りもせずディケンズの『大いなる遺産』、それにカズオ・イシグロの『日の名残り』のネタバレをやるので、知りたくない方は読まないでください。 いきなりのネタバレを避けるために、以下にヘンデルの音楽を挟みます。 www.youtube.com リリー・ラスキ…
図書館に行って、小学館から2006年に出た谷川俊太郎が聞き手となった武満徹ゆかりの人との対談集を返却して、同じシリーズの武満浅香(武満徹の妻)のインタビュー本を借りた。また阪神タイガースの話が出てくる。また、昨日記事を公開したディケンズの『大…
1月11日から16日までかけて、チャールズ・ディケンズの『大いなる遺産』(1861)をさ佐々木徹訳の河出文庫版で読んだ。 www.kawade.co.jp 3年前のゴールデンウィークに同じディケンズの『荒涼館』(1853)を同じ佐々木徹訳の岩波文庫版で読んで大いにはまったこ…
今年2番目に読み終えた本は、図書館で借りた宮部みゆきの『平成お徒歩日記』(新潮文庫2001, 単行本初出1998)。現元号に改元後、一篇の書き下ろしを加えて『ほのぼのお徒歩日記』と改題されたらしい(2019年刊)。 www.shinchosha.co.jp 改題された新装版の…
2025年に最初に読み終えた本は山崎豊子の『華麗なる一族』(新潮文庫1980, 全3冊)だった。 www.shinchosha.co.jp 『週刊新潮』1970〜72年連載で、単行本は1973年に出た。その7年後に文庫化された。1974年に映画化、同じ1974年と2007年、2021年にドラマ化さ…
今年(2024年)、プロ野球セントラルリーグの中日ドラゴンズの最終戦だったバンテリンドームの対横浜DeNAベイスターズ最終戦の結果を私は大いに気にしていた。というのは中日が勝てばヤクルトスワローズの最下位が決まることだ。中日はベイスターズに完封負…
一昨日(28日)は江東区図書館の最後の開館日で、いつもの土曜日よりも閉館時刻が早い図書館があったので、午後に2箇所の図書館で5冊の本を借りた。 そのうちの1冊が下記。 www.hanmoto.com 上記の埋め込みリンクのタイトルはなんだか変だ。この本は対談集で…