2018-01-01から1年間の記事一覧
松本清張という人は、作品の完成度を高めるよりも、書きたいものを書きたいだけ書く営為を続けた人だったように思う。だからその作品は文字通り玉石混淆なのだが、たとえ「石」に該当する作品であっても強い訴求力を持つのが清張作品の魅力の一つだ。 そして…
1930〜40年代には戦争にのめり込んで崩壊していった日本社会だが、今では年々没落の一途をたどる国勢に、政府や役所といった統治機構の腐敗を最高権力者とその妻が主導するというわけのわからない崩壊の過程をたどっているように見える。 アメリカ映画の挿入…
このブログは「古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ」と銘打っていながら、音楽は一度も取り上げたことがなく、本も松本清張作品ばかりだ。だが、その清張作品をきっかけに、ようやく音楽絡みの話題を取り上げるチャンスが訪れた。 今年1月から読み始め…
今月は松本清張の長編を2作続けて読んだ。『神々の乱心』(文春文庫,2000)と『小説東京帝国大学』(ちくま文庫,2008)だ。前者は1990年から没年の1992年まで『週刊文春』に連載された未完の作品(単行本初出は文藝春秋,1997)で、後者は1965年から翌66年に…
相変わらず松本清張にはまり続けている。2015年末頃からは「清張作品を読めるだけ読んでやろう」と思っており、上下巻を2冊に数える数え方で言えば、読んだ清張作品は既に100冊を超えた。少し前に清張処女作の「西郷札」を読んだが、今は清張絶筆となった未…
今年最初の更新でも、またまた松本清張作品を取り上げる。清張以外の小説も読んでるし、小説以外の本も読んでいるのだが、清張作品の場合、作品の背景を調べてみるといろいろ興味深いことを知ることができる機会が多いので、どうしても取り上げる頻度が増え…