KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

NHKオンデマンドで、宮城聰演出のベルリン国立歌劇場2022年公演 モーツァルトの歌劇「ポントの王ミトリダーテ」(K 87) を視聴した

吉田秀和の昔のNHK-FMの解説で最近聴いたモーツァルト14歳の時のオペラ『ポントの王ミトリダーテ』K87が、音楽だけではなく劇としても面白そうだったので、これは是非動画見たいと思ってネット検索をかけたところ、一昨年(2022年)のベルリン国立歌劇場公演…

森本恭正『日本のクラシック音楽は歪んでいる』(光文社新書,2024) の「調性音楽は階級を体現している」という主張には無理がある。また、専門家とは思えない教会旋法の説明のいい加減さに呆れた。

最初に読み終えたミステリについて少しだけ書いておく。 アガサ・クリスティのポワロものの31番目の長篇『ハロウィーン・パーティ』を、昨年新訳版が出たハヤカワ・クリスティー文庫で読んだ。旧版は中村能三(1903-1981)訳だったが、山本やよい氏(1947-)…

息子ヴォルフガングの天才に寄生して宮廷お抱えの楽師一家として余生を送ろうと企んだレオポルト・モーツァルトの野望を見破った女帝マリア・テレジア

先月読んだかげはら史帆さんの『ベートーヴェンの捏造』(河出文庫,2023)の印象はとても強烈で忘れ難い。 www.kawade.co.jp この本については、モーツァルトの没後268回目の命日に公開した下記記事の最後に少しだけ触れた。 kj-books-and-music.hatenablog.…

「伝ハイドン」→「伝レオポルト・モーツァルト」→「アンゲラー作」の「おもちゃのシンフォニー」をBGMにしたNHK「おかあさんといっしょ」のアニメと半世紀以上ぶりに再会した/「アルビノーニのアダージョ」は20世紀の研究家による偽作

これまで記事にしようと思いながらなかなか書けなかったクラシック音楽関係の暇ネタを放出することにする。 私が小学生だった1971年頃に、よくNHKの「おかあさんといっしょ」で昔ハイドン作と思われていた時代が長かったらしい「おもちゃのシンフォニー」をB…

「弾薬のように短気」だったモーツァルトとその苦難の人生

モーツァルトとベートーヴェンに関して、片割月さんと仰る方から2件のコメントをいただいた。反応が遅れて誠に申し訳ないけれども、以下にご紹介する。コメントを引用しようとして初めて気づいたのだが、下記のブログを運営されている。 nw7hvnc37uel.blog.f…

小澤征爾死去 〜 小澤と武満徹、小澤と大江健三郎、小澤と村上春樹の3冊の対談本が面白かった

小澤征爾が亡くなった。 私は小澤の音楽との相性が必ずしも良くなくて、ブログに名前を出したこともほとんどないし、CDも数えるほどしか持っていない。Macのミュージックに入れたのもチャイコフスキーの『白鳥の湖』全曲盤とチェロのムスティスラフ・ロスト…

「いつも何かを欲しがっているということは、あなたを不幸にする」と言ったモーツァルト弾きのピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュと、「業界を飼いならし、権力を手中に収めるという方法」をとった日本を代表するピアニスト中村紘子

マリア・ジョアン・ピレシュ(1944-)というポルトガル出身の女性ピアニストがいる。もう引退したが、29歳だった1974年に日本のDENONレーベルにモーツァルトのピアノソナタ全集をPCM録音したため、1970年代にNHK-FMで彼女の弾くモーツァルトがよくかかったの…

アガサ・クリスティ77歳の作品『終りなき夜に生れつく』は、クリスティ作品ベスト5に入れたい大傑作

久しぶりにアガサ・クリスティのミステリを取り上げる。 現在の私は作曲家・モーツァルトの生涯とその音楽を追うことに熱中しているが、3年前から熱中していたのがアガサ・クリスティの全ミステリ(アドバンチャーものを含む)を読むことで、昨年末の時点で…