KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『魔笛』第1幕で善人役に見えた「夜の女王」が第2幕では一転して悪役になるが、モーツァルトはマリア・テレジアを「夜の女王」に見立てていたのではないか

押し入れを整理していたら昔テレビ放送を録画したVHSのビデオテープが出てきた。その中の1本に、1991年12月8日にNHK教育テレビ(現Eテレ)の『芸術劇場』が収められていた。この日の番組では、最初の1時間が『モーツァルト・オン・ツアー ウィーン・プラハ …

【ネタバレ満載】カズオ・イシグロ『クララとお日さま』詳論 〜 本作で一番戦慄した箇所は第四部中ほど(全体の3分の2くらい)のある場面だった

前回取り上げたカズオ・イシグロの『クララとお日さま』について、sumita-mさんのブログが弊ブログへの言及を含む記事を下記記事を公開された。それに触発されて、この小説についてもう少し書くことにした。 ところで、今回の記事のタイトルに【ネタバレ満載…

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(2021) を読む

今回は前回に予告したモーツァルトシリーズの最終回(『魔笛』篇)は先送りして、久しぶりに音楽と関係ない本の話題。 カズオ・イシグロの『クララとお日さま』(ハヤカワepi文庫, 2023)、これは昨年8月に文庫化され、本を買ったのは10月頃だったと思うが、…

モーツァルトには革命前夜の時代の空気をかぎとり、オペラで貴族が謝罪・破滅する物語を描いた先進性や、信念のためなら上に歯向かうベートーヴェン並の反骨心があった(高野麻衣氏)

昨年10月末に突然かつてのモーツァルト熱を再燃させて現在に至るが、年度末でもあり、弊ブログのモーツァルト関連記事に一区切りをつけることにした。 私は10〜20代の頃にモーツァルトの音楽にずいぶん嵌ったが、痛恨なことに当時の私は人間に対する関心が薄…

水谷彰良『サリエーリ - モーツァルトに消された宮廷楽長』(音楽之友社, 2004) を読む

明日には図書館に返さなければならないので、水谷彰良著『サリエーリ - モーツァルトに消された宮廷楽長』(音楽之友社, 2004)についてメモを残しておく。下記は2019年の復刊版へのリンク。 www.fukkan.com 本文を始める前に、弊ブログにいただいた下記コメ…