KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

2025-01-01から1年間の記事一覧

ベートーヴェンのピアノソナタ「テンペスト」と1977年放送のTBSテレビドラマ『赤い激流』

最近はバッハやモーツァルトをあまり聴かず、シューベルトやシューマン、メンデルスゾーンらの前期ロマン派とともによく聴くのがベートーヴェンの音楽だ。 以前にも書いたかもしれないが、私は歳をとって耳が悪くなり、音楽を聴くときには補聴器のお世話にな…

中国系アメリカ人チェリストのヨーヨー・マ、政治的な発言をしない人だったのに、トランプが館長になったケネディ・センターで演奏する気はないと公言した/ロシア人天才少女ピアニストのアレクサンドラ・ドヴガンはウクライナ系の人か

先々週の記事に取り上げたハンガリー出身の名ピアニスト、アンドラーシュ・シフ(1953-)は、昔から祖国ハンガリーのオルバーン政権を批判して、祖国では演奏をしないと宣言するなどの「政治的な発言をする」イメージがあったが、シフより2歳年下の中国系ア…

Xのトレンドに「クライスレリアーナ」というシューマンのピアノ曲の名前が出てきたので何事かと思ったら競走馬の名前だった。母親の名前は「シユーマ」

Xのトレンドに「クライスレリアーナ」が出てきたのでびっくりしたが、競走馬の名前だった。 なぜシューマンのピアノ曲の名前がが突然出てくるのかと思ってネット検索をかけたら、馬の母親の名前が「シユーマ」だった。それでか。下記は昨年のブログ記事。 am…

シューベルトはスウェーデン民謡『太陽は沈み』を、最晩年に作曲した「ピアノトリオ第2番」にどのように取り入れたか

連休中に買ったアンドラーシュ・シフ、塩川悠子、ミクローシュ・ペレーニの3人によるシューベルトのピアノトリオ2曲その他を収めた2枚組のCDが良かった。 tower.jp これはドイツ・ハンブルクのテルデックレーベルへの録音だが、2012年にタワーレコードによっ…

3拍子と2拍子系とが頻繁に交替する島倉千代子の『からたち日記』(1958)は、山田耕筰作曲の『からたちの花』(1925)へのオマージュだった

初めに4月前半というか1日から16日までの間に読了した本。既に弊ブログの記事で紹介した本を含む。 www.kadokawa.co.jp www.kadokawa.co.jp 後者は以前の記事に紹介した通り6つの中篇及び短篇からなるが、3番目に収められた表題作の「泣き童子」は暗くて怖く…

江戸っ子の宮部みゆきが江戸期阪神間の水害を題材にとった「くりから御殿」(『泣き童子 - 三島屋変調百物語参之続』収録)は絶品!

宮部みゆきの『三島屋変調百物語』シリーズ、現在10冊出ていてうち8巻が角川文庫になっているが、図書館本で現在3冊目の『泣き童子』を読んでいる。 www.kadokawa.co.jp 江戸時代の江戸(東京)を舞台にした時代小説だが、宮部の時代小説は時代小説らしから…

岡田暁生と片山杜秀の対談本『ごまかさないクラシック音楽』(新潮選書, 2023)を読む/ブルックナーはナチスが最後に持ち上げた作曲家だった。佐倉統が片山杜秀のブルックナー論に一矢を報いていた (朝日新聞コメントプラス=24/9/19、有料記事プレゼント)

一昨日(4/5)、前回の記事で取り上げた石井宏の『ベートーヴェンとベートホーフェン』(七つ森書館, 2013)「を返しに行った図書館の書棚に、岡田暁生と片山杜秀の対談本『ごまかさないクラシック音楽』(新潮選書,2023)が置いてあったので借りて読んだ。 …

ベートーヴェンの《第九》中のシラーの詩に含まれる「排除」の問題/ベートーヴェンは共和主義者だったか(小宮正安『ベートーヴェン《第九》の世界』を読む)

3月は前半暇が全然なく、後半は2022年7月以降に限ってはもっとも自由になる時間が多かった。 3月前半に唯一読み終えた本が、小宮正安『ベートーヴェン《第九》の世界』(岩波新書,2024)だった。昨年11月に刊行された。 www.iwanami.co.jp 私にとってベート…

アンナ・ネトレプコのヴェルディ『椿姫』を視聴する/『ラ・ボエーム』と『カルメン』の原作を読む/『大いなる遺産』補遺など

3連休だが、3月の仕事予定が厳しくて、明日(2/24)はその準備に充てなければならないので、やりたいことをやるのは昨日(2/22)が勝負だった。そこで、怖いもの見たさで買った「プーチン人脈の名歌手」アンナ・ネトレプコ主演のヴェルディ『椿姫』のDVDを視…

ディケンズ『大いなる遺産』最終回/産業革命やフランス二月革命によって階級間の人の移動が起き始めたことがディケンズの作風を変化させた?

ヘンデルの音楽の最終回はやはり『水上の音楽』にしようか。 www.youtube.com 上記の動画は、下記ブログ記事からリンクされていた。なお、演奏しているジョルディ・サバール*1たちの録音については、バッハの『音楽の捧げもの』と『フーガの技法』のCDを持っ…

【ネタバレあり】ディケンズ『大いなる遺産』とカズオ・イシグロ『日の名残り』

また懲りもせずディケンズの『大いなる遺産』、それにカズオ・イシグロの『日の名残り』のネタバレをやるので、知りたくない方は読まないでください。 いきなりのネタバレを避けるために、以下にヘンデルの音楽を挟みます。 www.youtube.com リリー・ラスキ…

【ネタバレあり】ディケンズ『大いなる遺産』を読む鍵は、正邪不明の謎のキャラクター・エステラの解釈かも

図書館に行って、小学館から2006年に出た谷川俊太郎が聞き手となった武満徹ゆかりの人との対談集を返却して、同じシリーズの武満浅香(武満徹の妻)のインタビュー本を借りた。また阪神タイガースの話が出てくる。また、昨日記事を公開したディケンズの『大…

チャールズ・ディケンズ作(佐々木徹訳)『大いなる遺産』(上下巻・河出文庫)を読む

1月11日から16日までかけて、チャールズ・ディケンズの『大いなる遺産』(1861)をさ佐々木徹訳の河出文庫版で読んだ。 www.kawade.co.jp 3年前のゴールデンウィークに同じディケンズの『荒涼館』(1853)を同じ佐々木徹訳の岩波文庫版で読んで大いにはまったこ…

宮部みゆき『平成お徒歩日記』(新潮文庫2001) を読む

今年2番目に読み終えた本は、図書館で借りた宮部みゆきの『平成お徒歩日記』(新潮文庫2001, 単行本初出1998)。現元号に改元後、一篇の書き下ろしを加えて『ほのぼのお徒歩日記』と改題されたらしい(2019年刊)。 www.shinchosha.co.jp 改題された新装版の…

山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫, 全3冊) を読む

2025年に最初に読み終えた本は山崎豊子の『華麗なる一族』(新潮文庫1980, 全3冊)だった。 www.shinchosha.co.jp 『週刊新潮』1970〜72年連載で、単行本は1973年に出た。その7年後に文庫化された。1974年に映画化、同じ1974年と2007年、2021年にドラマ化さ…