初めに4月前半というか1日から16日までの間に読了した本。既に弊ブログの記事で紹介した本を含む。
後者は以前の記事に紹介した通り6つの中篇及び短篇からなるが、3番目に収められた表題作の「泣き童子」は暗くて怖くて救いがなかった。軽めの作品が2篇続いたあとの表題作がこれだから、宮部みゆきは油断がならない。だからやめられないともいえるが。
なお図書館で3冊目を借りたから4冊目は3冊目がないから借りられないだろうと思ったが甘かった。先週は書棚に4冊目がなかったから借りなかった。私は予約するなどという面倒なことはやらない主義で、書棚にある本から読みたいと思った本を借りることにしている。
そういえば宮部さんご出身の江東区千石に地下鉄の駅が新設される予定だ。昨夜マツモト氏のXを拝見していたら、下記のポストがあったので驚いた。
豊洲と住吉を結ぶから「豊住線」と通称されている有楽町線支線、住吉〜東陽町間に予定されている「(仮称)千石駅」は、三田線の駅名と被るし、ちょうど仙台堀川にかかる橋が「豊住橋」(読みは「とよずみ」だけど)だし、「豊住駅」でいいんじゃない? pic.twitter.com/FlKODamsup
— マツモト (@matsuwitter) 2025年4月18日
よもや江東区の方でもあるまいに、よくそんなことをご存知だなと感心した。しかし地元民として訂正しておくが、「豊住橋」の「豊住」は「とよすみ」と読むのが正式だ。なぜなら橋自体にそのようにひらがな表記されているからだ。下記リンクの画像をご覧いただきたい。
都営バスの停留所の読みは確かに「とよずみばし」だが、そちらの方が慣用読みなのだ。ただ、上記Xを見て、もしかしたら「豊住橋」の名前は豊洲と住吉の間という意味なのだろうかと初めて思った。東京西部の「国立」(国分寺と立川の間)みたいに。私はもともとはよそ者*1なのでそのあたりは知らない。
まあ駅の名前は普通に「千石」で良いのではないか。「豊住駅」では宮部みゆきさんの怒りを買うんじゃないか。
また下記の本は2023年の新訳での再読。
なぜ再読したかというと、本作はガストン=ルルーの『黄色い部屋の秘密』へのオマージュじゃないかと思ったからだ。ネタバレの問題もあるので指摘した例はあまり見ないけれども、やっぱりそうなんだろうなと思った。なおクリスティのミステリ作品はマジック1、つまりオリジナルの小説としてはあと1冊を残すだけになっている。戯曲とかそれに基づいて他の人が小説化した作品などの大部分は未読。
あと、なかなか読了に至らないのだが、下記の本を少しずつ読んでいる。
興味深いと思ったのが、島倉千代子の『からたち日記』(1958)という歌が、3拍子と2拍子系とが頻繁に交替する変拍子になっているとの記述だった(220頁)。
私が直ちに思い出したのが山田耕筰が北原白秋の詩に作曲した『からたちの花』(1925)だった。この歌は確か小学校の音楽の授業で習ったが、初めて知った変拍子の音楽がこの歌だった。
そこでネット検索をかけたら、やはり山田耕筰を意識して作られたものらしいことがわかった。下記は2016年に公開されたブログ記事。
昨日の朝の音楽療法で
島倉千代子さんの
♪からたち日記
を扱いました。
準備の段階で、
改めて聞いてみました。
何か歌いにくいイメージがあったのは
3拍子と2拍子が混じっているからなのですね。
何度か聞いて慣れると
何てことはないのですが。
で、試しに、
これを全部3拍子にして歌ってみました。
(全部2拍子は無理がありました)
うーん、不思議、
とても「ふつう」の感じになる、と思いました。
たぶん、3拍子と2拍子が混在しているからこそ、
言葉も生かされて、
心の機微も表現されて、
そしてあのお千代さんの独特な味わいで、
大ヒットしたのかなあ、と・・・
で、間奏に山田耕筰の「からたちの花」が
ちょっと入っています。
ハッ・・・!
これはもしや、
作曲者の遠藤実さんが
山田耕筰を意識して作ったのでは??
だって「からたちの花」も
3拍子、2拍子入り乱れです。
そーかあ、
そーだったんだ!
そして、それがいい結果を生んだわけだ。
って、決め付けはいけませんが、
いや、きっとそうだよ。
それにしても、
しみじみとなっちゃう
いい曲です。
そして下記は昨年(2024年)にポストされたXのスレッド。
大瀧詠一さんの命日なので、このYouTubeをお知らせしたいと思います。→#大瀧詠一 #大滝詠一 #スピーチ・バルーン #遠藤実https://t.co/fIwsjkdkBE
— 濱 伊佐男 (@isaohama1956) 2024年12月30日
→ニッポン放送BSデジタルラジオLFX488で放送された、大瀧詠一さんのラジオ番組「大瀧詠一のスピーチ・バルーン 第3回放送 小林旭を語る その3 ゲスト・遠藤実 その1」です。
— 濱 伊佐男 (@isaohama1956) 2024年12月30日
その内容は、遠藤実先生がヒット作曲家になるまでの、ご苦労と作曲技法について語られました。→
→大瀧さんが「島倉千代子さんの『からたち日記』は、山田耕筰の『からたちの花』のメロディーを間奏に少し入れて、歌謡曲にあまりない細かい演出がされていますね。」と尋ねたのに対して、遠藤先生は「かつて叙情歌を愛した人にも聴いて貰えるように作曲した。」と語り、→
— 濱 伊佐男 (@isaohama1956) 2024年12月30日
→メロディーを口ずさみながら作曲の意図について語りました。
— 濱 伊佐男 (@isaohama1956) 2024年12月30日
大瀧さんが「そこ聞かせどころですよね」というと、遠藤先生は感激して「やっぱり本物だあんたは、握手!握手だよ!大瀧さんはすごいや。」とおっしゃいました。
このエピソードは、2002年1月13日の「新春放談」で放送されました。
島倉千代子の歌にはいくつかのバージョンがあって、間奏に『からたちの花』が入っていないものもあったが、下記YouTubeのバージョンには確かに『からたちの花』が引用されている。
島倉千代子の歌は山田耕筰の『からたちの花』とは似ても似つかない。しかし間奏には確かに『からたちの花』のメロディーが出てくる。
私はヨナ抜きのハ長調によるという島倉千代子の歌の方はさして良いとは思わないし、山田耕筰の『からたちの花』は良いけれども戦争に協力しなかった山田耕筰という人は嫌いだ。
でも非常に興味深いと思った。
ところで『からたちの花』と『からたち日記』はどちらが有名なのだろう。間違いなく『からたちの花』の方ではないかと思うがどうだろうか。
*1:大阪出身の兵庫育ちで、神奈川、岡山、香川にも居住経験がある。