前回に続いてイギリスの作曲家、エドワード・エルガーとグスターヴ・ホルストとイギリス二大政党の話。
「威風堂々」に対して、労働党の愛唱歌は「ジェルサレム」。今回書きたかったのはこの「ジェルサレム」の方なのだが、その余裕が今はない。
「ジェルサレム」は全く知らなかったのですが、Wikipediaを見るとこんなことが書いてありました。
「エルサレム」(英語: Jerusalem)は、18世紀イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩『ミルトン』(Milton)の序詩に、同国の作曲家サー・チャールズ・ヒューバート・パリーが1916年に曲をつけたオルガン伴奏による合唱曲。後にエドワード・エルガーによって編曲され管弦楽伴奏版も作られた。毎年夏に開催されている「プロムス」の最終夜において国歌『女王陛下万歳』、エルガーの『希望と栄光の国』と共に必ず演奏される。更にはラグビーやクリケットでのイングランド代表が国歌として使用しているなど、イギリス国内では様々な場面において特別な扱いを受けている歌である。労働党大会では『赤旗の歌』とともに必ず合唱され、他方では極右政党の党歌にもなっている。
「ジェルサレム」(エルサレム)はエルガーが編曲して極右政党の党歌である一方、労働党大会で必ず合唱され、BBC主催で毎年夏にロンドンで行われる音楽祭「プロムス」では例のエルガーの帝国主義万歳ソングや女王万歳ソングとともに必ず歌われる、「『右』も『左』もない歌、ってところでしょうか。
「プロムス」は2009年に一度だけNHK-BSで見たことがあって、その時にはハイドンのトランペット協奏曲や、イギリスに帰化したジョージ・フレデリック・ハンドル(日本ではドイツ名のヘンデルで呼ばれる)のオペラ(題名は失念)だのを視聴しました。なかなか楽しそうな音楽祭だなとの印象でしたが、以後視聴したことはありません。
エルガーの問題の音楽については‥‥
このときも、「威風堂々」は保守党の愛唱歌なので政治的にバイアスがかかっているといったコメントがあったような気がする。
そうそう、2015年に文句をつけていた黒川滋氏(彼の指摘によって私はエルガーの一件を知ったのでした)がツイートしてたんじゃなかったでしたっけ。黒川氏の持ちネタといえるかもしれません。
ところで、上記「ねとらぼ」から転載された上記記事に、下記のヤフコメがついていた。
記事にもあるようにエルガーの威風堂々第1番は歌詞が付けられ【Land of Hope and Glory(希望と栄光の国)】という超メジャーな愛国歌としてイングランドの人達に歌われています。 非常に口ずさみやすく気分が高揚する心の琴線に触れるメロディで、日本の紅白歌合戦の【蛍の光】のように英国国営放送のイベントで毎年歌われており誰もが知る曲となっています。 同じような経緯で歌詞が付けられた愛国歌にホルスト作曲の「惑星」より【木星】があります。平原綾香さんが歌ったメロディですね。 然しながらイギリスでは理想国家を希求する崇高な愛国歌であり、日本で歌われるような個人的な恋愛歌ではありません。 曲も「宇宙を描いた」訳ではありません。何人かの歌手が「宇宙を感じるメロディ」と言っているのを聞いた事がありますが、あれはタロットカードの暗示【快楽の神】からイマジネーションを得て作曲したものです。
そんなわけでホルストの「ジュピター」(組曲『惑星』の第4曲「木星」)のゆっくりした中間部につけられた歌詞を持つ「我は汝に誓う、わが祖国よ」をWikipediaで参照すると、下記の記述があった。
イギリスの愛唱歌[編集]
1926年の第一次世界大戦休戦協定記念式典で演奏されて以降、イギリスでは11月11日のリメンブランス・デーで戦没者追悼の歌として歌われるようになった。1926年に賛美歌集 "Songs Of Praise" に収録されたときには、ホルストの友人レイフ・ヴォーン・ウィリアムズによって『サクステッド』と名付けられた。ホルストが曲を付けた背景に関しては、ホルストの娘イモージェンが以下のように証言している。
ロイヤル・ブリティシュ・リージョン(w:Royal British Legion )によるリメンブランスデーの式典(11月11日の直前の日曜日もしくは土曜日に開催される)では女王、王族を含む参列者全員によって歌唱される(外部リンクを参照)。 王太子妃ダイアナがこの聖歌を好んだとされ、チャールズ王太子との結婚式で演奏されたほか、1997年のダイアナ妃の葬儀の際には長男ウィリアム王子の要望で演奏された。また2013年のマーガレット・サッチャー元イギリス首相の葬儀でも歌唱されたほか、2021年のエディンバラ公フィリップの葬儀では吹奏楽で演奏された。
ホルストの「ジュピター」はサッチャーの葬式でも歌われたのだった。「喜べ、地獄が民営化されたぞ!」との祝意でもあったのだろうか。
下記は上記コメントへの私の返信。
「燃える秋」は私が愛聴する石川セリの『SERI -TORU TAKEMITSU POP SONGS』(1995) には収録されてないんですよ。石川にはこの曲を含むCDもあるようですが、そちらは持っていません。私が持っているのは、ドミニク・ヴィスというカウンターテナーのクラシックの歌手が2002年に録音した『武満徹を歌う』というCDで、これには「燃える秋」が入っています。以前からずっと、どうもどっかで聴き覚えがあるような気がしてましたが、1978年にハイファイセットが出したシングルのB面でしたか。この歌のハイファセット版のほか、武満徹作品でないA面の「熱帯夜」という歌も聴いてみましたが、こちらは冴えない歌で全然記憶にありませんでした。1978年の歌謡曲だのニューミュージックだのは、深夜放送漬けになっていた当時の私はイントロ当てでほとんど正解できるほど熟知していたつもりですが(キャンディーズが引退し、ピンクレディーが『UFO』でレコード大賞を獲ったものの紅白歌合戦には出ないで日テレの番組に出た年でしたっけ。そうそう、ヤクルトが初優勝した年ですね)、「燃える秋」はB面曲だし、耳にする機会も数えるほどしかなかったに違いありません。でも、言われてみたら遠い昔に武満徹がハイファイセットに曲を提供したという話があったようなかすかな覚えがあるような気もしますが、錯覚かもしれません。
「燃える秋」は前記石川セリの『SERI -TORU TAKEMITSU POP SONGS』収録曲よりも少し劣るような気がしなくもありません。一捻りが足りないというか。
あと、いわくつきの映画の主題歌だったということは初めて知りました。
「いわくつきの映画」については下記Wikipediaの記述を参照。
概要[編集]
三越社長の岡田茂の企画で制作された。三越の資金10億円を映画製作費に使ったとされる。この破格の予算に物を言わせて、小林正樹、稲垣俊、村木忍、武満徹といったスタッフを集結させた。当初、主演は三越のCMに出演していた栗原小巻で企画されていたが[1]、スケジュールが合わず、五木寛之がテレビCMで目にとめた真野響子が起用された[2]。岡田は三越の専属配送業者である大和運輸(現ヤマトホールディングス)に映画前売券の購入を強要し[3]、公正取引委員会からの調査を受け[3]、大和運輸は三越と絶縁した。このような岡田による会社の私物化が社内で問題視され、後に岡田は解任された(三越事件)。そのため、この映画も三越の恥として公開後はお蔵入りとなり、ビデオソフト化はされていない。
以上の経緯のため、現在では幻の映画である半面、武満が担当した音楽が比較的よく知られており、稀に映画祭などで特別上映されると、かえって集客力のある奇妙な立ち位置の作品となった[注 1]。
あらすじ[編集]
老画商・影山(佐分利信)の愛玩品として弄ばれることに疲れきった桐生亜希(真野響子)が、京都祇園祭の宵山の雑踏の中で若い商社マン・岸田(北大路欣也)に出会い、ペルシャ絨毯の美を教えられる。やがて影山はガンに侵され、亜希にペルシャ絨毯とそれを生んだイランへの航空券を残して死ぬ。亜希は影山の遺志でイランに旅立つ。
三越事件の発覚は1982年だが、それよりも映画がイランのパフラヴィー(パーレビ)王朝末期の作品だったことが興味深い。イラン革命は1979年2月に成就した。
ハイファイセットが歌った武満徹の曲は、武満がビジネスライクに徹して書いた不本意な音楽だったともいわれている。ようだ。だから石川セリの名盤『SERI -TORU TAKEMITSU POP SONGS』(1995) に収録されなかったのかは知る由もないが。
石川セリ版には発売当時に武満徹自身の推薦文が添えられていたが、発売のわずか数か月後に武満徹が死去したのだった。命日は1996年2月20日。
今回の記事についていうと、
もうずいぶん前だが、テレビの歌番組で
平原綾香が「燃える秋」をうたっているの見て腰を抜かした。
これはよほどの通でないと取り上げない曲で、
平原にはよほどのブレーンがついているんだろうなと思った。
以下は、ハイファイセットのオリジナル。
https://www.youtube.com/watch?v=t25VumoZ2Q0