KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

大岡昇平

坂本龍一と父・坂本一亀と大岡昇平と

『kojitakenの日記』に公開した島田雅彦を批判する記事を書くために大岡昇平の『成城だより』全3冊(中公文庫)を調べていたら、同じサ行の姓の坂本龍一への言及が何箇所かあった。 大岡の日記に初めて坂本が登場するのは1980年5月8日。当時大岡71歳、坂本28…

「山本五十六提督が真珠湾を攻撃したとか、山下将軍がレイテ島を防衛した、という文章はナンセンスである。」(大岡昇平『レイテ戦記』より)

2月に読み終えた本は5タイトル7冊。多くの時間を割いたのは大岡昇平の『レイテ戦記』(中公新書, 2018改版)の第2〜4巻だった。ことに第2巻を読むのに難渋し、一度の週末では読了できずに2週間に分けた。それに続く第3巻はそれぞれ土日の2日間、第4巻は索引…

江戸川乱歩の発禁本「芋虫」は衝撃的/大岡昇平『レイテ戦記』第1巻(中公文庫2018年改版)と特攻隊

昨年(2021年)は読んだ100冊のうち42冊がアガサ・クリスティだった。今年はその比率を減らそう、というより自動的に減ることになる。というのは、ポワロもの長篇の6割(33冊中20冊)とミス・マープルもの長篇の半分(12冊中6冊)を読み終え、短篇集も半分以…

大岡昇平と吉田秀和と音楽と

今年(2019年)、河出文庫から吉田秀和(1913-2012)の音楽評論の本がずいぶん文庫化された。98歳まで生きた吉田が遺した膨大な評論から、作曲家や指揮者、ピアニスト別にテーマを絞って新たに編集したものが6タイトルと、2011年に発行されていた『マーラー…

大岡昇平『事件』を読む

純文学の小説家が戦後比較的早い時期に書いたミステリ系小説を2作続けて読んだ。大岡昇平(1909-1988)の『事件』(創元推理文庫2017;『朝日新聞』1961-62年連載時タイトル『若草物語』、単行本初出新潮社1977)と坂口安吾(1906-1955)の『不連続殺人事件…