東京大空襲を題材にとったこの小説は3年前に新潮文庫入りした時買おうと思って買いそびれたのだが、東京大空襲の日である3月10日の日曜日に図書館で借りて、翌3月11日(東日本大震災の日)から読み始めて3月13日(大阪大空襲の日)に読み終えた。もとは映画の原作だそうだ。
ここではあらすじの紹介は省略し、代わりに著者の早乙女勝元が先日語った言葉を朝日新聞デジタルの記事から引く。有料記事の無料部分のみの引用。
https://www.asahi.com/articles/ASM34578YM34UEHF005.html
早乙女勝元さんが語る東京大空襲「核並みの被害だった」
西村悠輔
「焼夷(しょうい)弾攻撃だけで一夜にして10万人もの人が亡くなったというのは、核兵器の被害と何ら変わらない。通常の火薬兵器でも核並みの被害を出すんです」。そう語るのは、作家の早乙女勝元さん(86)。館長を務める東京大空襲・戦災資料センター(東京都江東区)によると、原爆被害を除く全国の空襲による民間人の死者数は、東京23区と約530市町村で推定約20万3千人に上る。2014年11月に地域史を調べて積み上げた数字で、これは二つの原爆で亡くなった犠牲者(広島14万人、長崎7万人)に匹敵するという。
ジュラルミンの巨体が超低空で…
12歳の時、東京大空襲を経験した。あの夜のことを、こう著書に記す。
《黒煙と火焰(かえん)の裂け目から現れるB29は、驚くばかりの超低空で、ジュラルミンの巨体に地上の炎群が、まだら模様に映えている。ドドドッ、ズズズッという石油タンクが爆発するような怪音。火焰を吸いこんだ突風が迫ってくる》(2018年出版『その声を力に』から)
1945年3月10日未明、早乙女さんは墨田区向島にあった自宅から、父母と姉とともに、リヤカーに寝具や衣類、調理道具などを積んで避難した。火の粉が街を覆い尽くし、幼子の横で火の塊となりもがく男性。近くにいた家族の姿が見えなくなり、火柱と化した電柱が迫り来る寸前に、炎の隙間から飛び込んできた父に救われた。
早乙女氏の著書では、今回読んだ小説も良かったが(特に後半部には引き込まれた)、岩波新書から出ている『東京大空襲』(1971)が半世紀前の古い本だが必読だ。

東京大空襲―昭和20年3月10日の記録 (岩波新書 青版 775)
- 作者: 早乙女勝元
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1971/01/28
- メディア: 新書
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以上簡単だが、74年前に東京や大阪で空襲のあった時期にエントリを上げることにした次第。