「心境ですか? 空(くう)ですね」

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の派遣部隊が作成した日報をめぐる問題で、防衛相を引責辞任した稲田朋美氏。28日午後、防衛省の去り際、記者団から心境を問われ、こう答えた。

 昨年8月の就任以来、通い慣れた東京・市谷本村町防衛省を後にした稲田氏。花束贈呈などの退任セレモニーなどはなく、さみしい退場となった。

 「ポスト安倍」の一人とも目されながら、その言動が物議を醸し続け、稲田氏は大臣の資質を問われ続けた。防衛相としての「激動の1年間」を終えた今、まっさらな心境を表したかったようだ。

 そんな稲田氏に対し、記者団はさらに「その心は?」と質問。だが稲田氏は答えることなく、笑顔を見せながら迎えの車に乗り込んだ。31日の離任式に出席するため、また登庁するという。

 一方、引責辞任した黒江哲郎・前事務次官は同日夕、職員数百人が拍手で見送る中、36年務めた防衛省を後にした。後輩たちには「皆さんの力で防衛省を立て直して下さい」と述べた。(下司佳代子)

朝日新聞デジタルより)