KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

ミステリ

【ネタバレあり】小泉喜美子『弁護側の証人』(1963) は「映像化絶対不可能」との宣伝文句だが、1980年にNHKのドラマ『冬の祝婚歌』で映像化されている

4月に読んだ本は5冊だけだったが、うち4冊がミステリで、しかもその中には批判する目的でしか読まない東野圭吾作品が1つ含まれている。昨年来の多忙の疲れが新年度に入ってもまだ残っている体感がある。だから打率1割4分台にまで落ちてスワローズ7連敗の戦犯…

『容疑者Xの献身』再々論〜東野圭吾は「出題を理解できない読者」を挑発していた/A.A.ミルン『赤い館の秘密』/江戸川乱歩がクリスティの『予告殺人』を激賞した理由/小説と戯曲・映画で異なる『そして誰もいなくなった』の結末

江戸川乱歩が選んだミステリ十傑のひとつであるA.A.ミルン(1882-1956,『クマのプーさん』の作者として有名)の『赤い館の秘密』(創元推理文庫, 2017年の山田順子による新訳版)を読んだ報告から始める。今からちょうど100年前の1921年の作品で、アガサ・ク…

E・C・ベントリー『トレント最後の事件』(1913)は名作。『アクロイド殺し』が好きな人はきっと気に入る

このところ、戦前から戦後初期にかけての日本における英米、特にイギリスのミステリの受容史への関心が高まっている。その一環として、2017年に創元推理文庫から45年ぶりに改版されたE・C・ベントリーの『トレント最後の事件』(1913)を読んだ。これは新訳…