KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

岡田暁生『音楽の危機 - 《第九》が歌えなくなった日』を読む 〜 ベートーヴェン「第9」が孕む「排除」と「疎外」を克服できる日は来るか

3月はあと3日を残しているが、今日まで本を10冊読んだ(但し、数はミステリー小説の飛ばし読みによって水増しされている)。その中でもっとも強い印象を受けたのは、下記『kojitakenの日記』の記事で言及した吉田徹の『アフター・リベラル』(講談社現代新書…

東野圭吾『真夏の方程式』には松本清張『砂の器』との共通点もあるが、本質は『容疑者Xの献身』を焼き直した反倫理的小説

初めにお断りしておくが、本エントリもいつものようにネタバレ満載なので、(私はお薦めしないが)表題作を読みたいと思われる方がもしおられるなら、この記事は読まないでいただきたい。 やはり周庭氏は東野圭吾を読まない方が良いのではないか。また本邦の…

添田孝史『東電原発事故 10年で明らかになったこと』(平凡社新書)が告発する事故前の東電の悪行

今日(3/11)で東日本大震災と東電原発事故からちょうど10年になる。 先月下旬に下記の本を読んだ。 www.heibonsha.co.jp 何よりもタイトルが良い。あの原発事故の略称を「福島原発事故」ではなく「東電原発事故」としている*1。弊ブログでは2011年のある時…

東野圭吾の長篇『聖女の救済』を読んで、松本清張の短篇「捜査圏外の条件」を思い出した

私が不思議でたまらないのは、東野圭吾が日本のみならず中国や韓国で人気があるらしいことだ。その中国の息のかかった香港当局に逮捕され、有罪判決を受けて収監された周庭氏も、村上春樹とともに東野圭吾の小説を読むという。 Admin:旧正月の間に友人が新…