KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

村上春樹

小澤征爾死去 〜 小澤と武満徹、小澤と大江健三郎、小澤と村上春樹の3冊の対談本が面白かった

小澤征爾が亡くなった。 私は小澤の音楽との相性が必ずしも良くなくて、ブログに名前を出したこともほとんどないし、CDも数えるほどしか持っていない。Macのミュージックに入れたのもチャイコフスキーの『白鳥の湖』全曲盤とチェロのムスティスラフ・ロスト…

ポーより早く探偵小説の原型を発表した(?)ディケンズ『オリバー・ツイスト』/後年の作品の萌芽を多く含む村上春樹『1973年のピンボール』

連休中にチャールズ・ディケンズ(1812-70)の長篇『荒涼館』(岩波文庫2017, 全4冊=原著1852-53)を読んだ余勢を駆って、同じ著者の有名作品ながら読んだことがなかった『オリバー・ツイスト』(原著1837-39)を2020年に出た光文社古典新訳文庫で読んだ。 …

「ハルキスト」たちが「ピアノソナタ第17番 ニ長調 D850」でシューベルトに挫折してしまわないために

前回に続き、村上春樹の『海辺のカフカ』(2002)で言及されて注目されたクラシック曲を取り上げる。今回はシューベルトのニ長調のピアノソナタで、Dで表される「ドイチュ番号」では850番に当たる。 初めに、この曲を含むシューベルトのピアノソナタと村上春…

ベートーヴェンの「大公トリオ」と星新一・村上春樹・吉田秀和、それにシューベルトの変ロ長調トリオ

村上春樹の『海辺のカフカ』(新潮文庫)を読んだが、今回は小説そのものには時折触れる程度にして*1、小説で取り上げられた2曲の音楽である、ベートーヴェンの「大公トリオ」とシューベルトのピアノソナタ第17番(ニ長調 D850)の2曲を前後編で取り上げる。…

村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は「断ち切られたメビウスの輪」だ

今回はグダグダと書き散らすのはやめて、簡単にまとめて公開しておこう*1。表題の小説を未読の方はこの記事は読まない方が良い。 村上春樹の『騎士団長殺し』を読み、『ねじまき鳥クロニクル』を7年ぶりに再読したあと、同じ作者の『世界の終りとハードボイ…

再読したらめちゃくちゃ面白かった村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』と「絶対悪」辻政信について

初めにおことわり。この記事は村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』のネタバレが満載です。この小説を未読でかつ読みたいと思われる方は、できればこの記事を読まないで下さい。よろしくお願いします。 前回更新した下記記事を書いたことをきっかけに、村上春…

村上春樹『騎士団長殺し』は音楽の使い方においても『ねじまき鳥クロニクル』をなぞっていた

初めにおことわりしておきますが、この記事には村上春樹の長篇小説『騎士団長殺し』のネタバレが多数含まれています。この小説を未読で、かつ読みたいと思われる方は、この記事を読まない方が良いと思います。 私は村上春樹の小説の良い読み手では全くないが…

小松左京「眠りと旅と夢」(1978)に「携帯電話」が出てきた

まず現在読んでいる本から引く。 村上さんのところ (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/04/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る この本は473件の質問に村上春樹が答えるという趣向で、その後プロ野球セ・リー…