KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

山岳

新田次郎『八甲田山死の彷徨』(1971)と伊藤薫『八甲田山 消された真実』(2018)を読む

偶然の機会によって、新田次郎(1912-1980)の長篇小説『八甲田山死の彷徨』(新潮社,1971)のハードカバー本を入手した。1977年3月の第41刷で、本に「6月全国東宝系一斉公開!」と銘打った帯が掛かっている。たいへんな評判をとった映画だったことは覚えて…

鹿島槍ヶ岳に死す - 山岳の惨劇(最終回)松本清張「遭難」の創作に協力した登山家は加藤薫だったか

前回に続く連載4回目。馳星周選の『闇冥』(ヤマケイ文庫)に関する連載は、今回が最終回になる。 www.yamakei.co.jp 今回は、第1回で触れた松本清張と加藤薫、つまり同じ「遭難」というタイトルで同じ主人公名の山岳短篇を書いた2人の小説家のかかわりにつ…

鹿島槍ヶ岳に死す - 山岳の惨劇(第3回)新田次郎「錆びたピッケル」、森村誠一「垂直の陥穽」など

前回からだいぶ間が空いてしまった。馳星周選の『闇冥 - 山岳ミステリ・アンソロジー』に収められた新田次郎の「錆びたピッケル」のヒントになった遭難事故に関する情報がなかなか発見できなかったためだが、ようやくわかった。 闇冥 山岳ミステリ・アンソロ…

鹿島槍ヶ岳に死す - 山岳の惨劇(第2回)加藤薫「遭難」〜 山で仲間を失った山岳部員の痛恨

前回(鹿島槍ヶ岳に死す - 山岳の惨劇(第1回)松本清張「遭難」と加藤薫・序説 - KJ's Books and Music)の続き。 闇冥 山岳ミステリ・アンソロジー (ヤマケイ文庫) 作者: 馳星周 出版社/メーカー: 山と渓谷社 発売日: 2019/02/23 メディア: 文庫 この商品…

鹿島槍ヶ岳に死す - 山岳の惨劇(第1回)松本清張「遭難」と加藤薫・序説

1年前、去年(2018年)3月に、このブログの下記記事にコメントをいただいた。 kj-books-and-music.hatenablog.com いただいたコメントは下記。ブログ管理画面で確認すると、「2018-03-12 22:32:28」のタイムスタンプがある。つまり今から1年1か月前。 通りす…

沢田真佐子「単独の北岳」を読む(今福龍太編『むかしの山旅』より)

梅雨末期の豪雨はしばしば多数の死者が出る大災害をもたらす。今年も九州北部(福岡、大分)の豪雨で、この記事を書いている時点で18人の死者が出ているが、1953年の梅雨末期の豪雨はとりわけひどかったようだ。 typhoon.yahoo.co.jp 以下引用する。 1953年…