KJ's Books and Music

古寺多見(kojitaken)の本と音楽のブログ

カズオ・イシグロ

【ネタバレ満載】カズオ・イシグロ『クララとお日さま』詳論 〜 本作で一番戦慄した箇所は第四部中ほど(全体の3分の2くらい)のある場面だった

前回取り上げたカズオ・イシグロの『クララとお日さま』について、sumita-mさんのブログが弊ブログへの言及を含む記事を下記記事を公開された。それに触発されて、この小説についてもう少し書くことにした。 ところで、今回の記事のタイトルに【ネタバレ満載…

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(2021) を読む

今回は前回に予告したモーツァルトシリーズの最終回(『魔笛』篇)は先送りして、久しぶりに音楽と関係ない本の話題。 カズオ・イシグロの『クララとお日さま』(ハヤカワepi文庫, 2023)、これは昨年8月に文庫化され、本を買ったのは10月頃だったと思うが、…

2021年5〜7月に読んだ本; 吉見俊哉『東京復興ならず』/カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』/成長を続けたアガサ・クリスティと衰退の一途をたどる東野圭吾

5月の連休明けからずっと忙しく、一昨年以来2年半の間、弊ブログを最低月1回更新してきた記録が途切れるピンチになった。そこで、このところ読んだ本(大半が小説で、うち半分以上がミステリだが)をいくつか取り上げて感想を軽くまとめてみる。 まず、小説…

カズオ・イシグロ『日の名残り』を読む/丸谷才一はこの小説を「誤読」したのか

村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を再読したあと、本を2冊読んだ。うち1冊は、今月出たばかりの田中雄一著『ノモンハン事件 責任なき戦い』(講談社現代新書)を読んだが、これはあまり良くなかった。 bookclub.kodansha.co.jp この本は昨年(2018年)夏…